壁を土壁で仕上げる。土壁の歴史や造りや素材、DIYで左官することについて。

 

 

土壁というのはその文字が表す通りに土で作られた壁である。

ヨーロッパと日本の建築はそれぞれ「石の文化」と「木と紙の文化」と対比されるが近代に入りコンクリートで建てられクロスの壁紙が貼られた住宅が一般的にになるまで私達は木と土で固められた壁の中で生活を営んできた。

普段の生活で目にする機会は少なくなったが現在でも日本の伝統的工法により建てられた数寄屋や茶室には左官職人による土壁で仕上げられその自然が持つ土肌の質感は実に美しい。

また土で出来た壁は防火,断熱,吸放湿性,耐久性にすぐれており、何度も再利用して塗りなおすことができ自然にも還る素材であるからに高温多湿の日本の気候風土に向いた利にかなった方法であった。
地震が多いこの国でも土壁は崩れ落ちてしまってもまた水を練り直して比較的簡単に修復できるのである。

 

土壁をDIYで左官することについて

 

近年DIYが巷で流行し壁のセルフリフォームについても多くのやり方が紹介されているが、そのほとんどが古くなった土壁、もしくは砂壁をクロス張りやペンキで塗りあげて模様替えをする方法でありその逆については皆無に等しい。

今回は日本文化の「再構」の一環として再び土壁の文化が私達の生活の中に見直されるきっかけが生まれるように、自らの手で土壁を左官することに挑戦して その魅力を伝えていきたいと思う。

 

土壁の魅力をDIYを通して発信していきたい

 

 

土壁の造りや素材について

 

本来土壁は竹小舞と呼ばれる木の梁に竹を格子に編んだ土台に荒壁、中塗り、仕上げと土を重ねて塗り上げて藁とすさを砂を混ぜた自然素材のみを使って壁を仕上げる。

千利休作で有名な国宝茶室の「待庵」などはあえて中塗りの状態で仕上げてあり、大きめな藁が表面からも浮き見えてその荒々しい土肌が侘びの美学を表している。
さらに今では当たり前に思われるかもしれないが、床の間を土壁仕上げにしつらえたのも利休だ。

それ以前には床の間には貼り付け壁という和紙が貼られれているのが一般的であり現在では茶道の祖として名高い利休であるが、土壁の意匠、ひとつとっても当時においていかに創造的な事を行ってきたかが分かる。

壁の仕上げの素材には他にも砂壁に漆喰、珪藻土などが使われることもあるがその表面の仕上げが違うだけで竹小舞と土で土台が作られていたらどれもが土壁ということになる。

また使われる土ついてはその近隣の土地で採られた粘度質の土を使うのが好ましく、その地域によって土の色味、質感が違う為、採取された地名が壁土の名称として呼ばれるようになる。

壁土で最も有名なのが、関白となった秀吉が政務を行っていた聚楽第の付近から採られる事に因んだ、聚楽土であろう。
黄褐色の品がある色味で、この土で仕上げられた壁を聚楽壁と呼ばれ様々な歴史的建造物や数奇屋、茶室に使われて土壁の中でも最高級と呼ばれる土だ。

その名が広がったことから現代では土壁の事を総称して聚楽壁(京壁)とよばれるくらいだ。その聚楽土の中でも、色味により「本聚楽」、「黄聚楽」、「白聚楽」と細かく分かれている。
他にも近江で採れた大津壁、淡路島の土などが良く使われ、関東よりも関西の土の方が粘土質で扱いやすいようだ。

 

国宝茶室『如庵』本聚楽土による土壁

 

 

近年の土壁とDIYで左官

 

日本の伝統建築を見ると外観、内観ともに土壁が目に入るが、近年建てられた日本建築や茶室写し、修復等によって新しく塗られた土壁は均一すぎる色味に仕上がっているものが多く変な違和感を感じてしまうものが多い。
土は本来、自然からなるものであり、その自然が持つ不完全さを受け入れることが美しさは更に増していくものだと思うのだが、壁一面が均一の色味に仕上げられているとそこだけ浮いて見えてしまうのだ。
その原因は現在良く使われる壁土が早く誰でも塗りやすいように糊を配合しすでに色味も指定されたものに調合されている土が使われているからだろう。

逆に自然の土だけで塗られ時代と共に年月が経ち土の色が朽ち果てて変色した土壁からは実に味わい深い魅力を感じることができる。

以上、土壁の土について様々に考察してきたが今回、日本の伝統構法によって作られた建築物ではなく、コンクリートの壁に和風のビニールクロスが貼られていた集合住宅の一部を土壁に仕上げることをDIYで挑戦したいと思う。
そこには壁が呼吸するといった本質的な土壁の効力は得られないだろう。しかしその和室には茶室としての役割も果たすように床の間を設ける予定の為、花入や調度品はやはり自然な土色が織りなす壁に映えると思うからだ。

前述の通り現在、市販で手に入る壁土には練り漆喰と同じく糊が配合されているものが多く、早く簡単に誰でも塗りやすい反面やはり自然素材のみの壁土の方が施行後の強度や仕上がりも勝るようである。
しかし壁土を一から作り上げようとすると、壁土に使える土を採取してきて、その他素材を用いて発酵させる工程もありと、素人にはかなりハードルの高い技術と経験が必要になる。

今回は誰でもDIYで土壁の仕上げができるよう、既製品として販売されている壁土を上手に利用しながらより自然な仕上がりを目指すのを目標に土壁を塗り方を紹介していきたいと思う。

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