万博の日本庭園から浮かびあがる現代日本への皮肉 

 

 

 

日本庭園。

 

 

それはわたし達の国が誇る伝統的な造園文化で、日本庭園を織りなす様々な要素や技術はその時代とともに極めて日本文化の美を体現しているといっても過言ではないでしょう。‍

 

今回はそんな身近にあるが実は深く知られていない日本庭園の歴史を気軽に体験出来る大阪の万博公園内にある日本庭園に来てみました。

 

 

万博記念公園にある日本庭園とは??

 

万博記念公園にある日本庭園の近代庭園地区

 

 

1970年に開催された大阪で開かれた日本万国博覧会の際に

当時の「人類と進歩と調和」というテーマに沿って、世界中から訪れた方々に日本の造園技術のを披露するために政府の出展施設として作庭されたもので、

東西1300m、南北、200mの細長い地形で西から東に傾斜してる地形を生かして上流の西からに下流の東の順に水流を配して西から時代別に

 

上代庭園地区 (平安時代)
中世庭園地区(鎌倉時代)
近世庭園地区(江戸時代)
現代庭園地区(未来の象徴)

 

と大きく四つに区切りされた造園が一つの広大な敷地の中に、作られています。

 


 

 

時代を遡って上代から庭園の様子を紹介していきましょう。

 

 


 

 

上代庭園地区は寝殿造りをふまえた迎賓館を構え、滝を人工的に流したりモミ、イヌマキ、スギ等の針葉樹を密植して、人の手の入っていない深山の景観を表現し平安時代の優雅な庭園を再現している作りになっています。

 

上代庭園地区の庭園

 

 

そして中世庭園地区は鎌倉時代を代表する石庭を用いた枯山水庭園を再現してあり、そこには龍安寺や詩仙堂に見られる禅に通じる侘びの空間性は感じる事は出来ませんが、確かに枯山水庭園を模範とした石と砂利による造園を見受ける事ができます。

 

 

中世庭園地区の庭園

そしてこのエリアの近くには

伊勢神宮にある茶室も手がけた数寄屋建築家の中村外二氏の設計施工による汎庵・万里庵の二つの茶室があり、こちらは数寄屋の手本といわれるようなむくり屋根を用いられた建物や水がしたたる音を楽しめる水琴窟を体験できたりとこの広大な敷地の造園の中で、最も日本的な美を体験できる場になっているのですが、普段は非公開で一般に訪れた人々は見学することはできないという皮肉な状態になっています。

 

数寄屋造りの草庵風の茶室「万里庵」

 

 

次に近世庭園地区です。こちらの地区の庭園は、江戸時代に多くの大名達が造園した池泉回遊式庭園を模範して作られており、わたし達が良く知ってる庭園というイメージが一番感じられる地区ではないでしょうか。ちなみに日本庭園の正門から入るとこちらの庭園をまず休憩室の建物から眺める事ができるようになっており、季節の花々が咲きのどかな庭園の眺めは美しいものになっています。

 

 

近世庭園地区

そしてその先をさらに東に歩いていくと現代庭園地区が見えてきます。

 

現代庭園地区では未来を象徴する明るく立体的なデザインの庭園が構成されていてこの地区の中心にあるはす池は、「仏典の輪廻の思想による回帰」を象徴しているらしくこの時代からはるか上代の地へと再び思いをはせてもらおうと意図が込められているとの説明がありました。

 

現代庭園地区

 

そして未来を受け継がれるべき現代の日本庭園の創造が試みられているという

蓮池がある庭園に到着。

 

こちらのハスの葉の一帯を見て何を感じますでしょうか??

池の真ん中にある黒屋根のモニュメントにも疑問を感じますがこの風情を見て

はるか上代の日本の地へと再び思いをはせる事がいかにできるというのでしょうか??。

 

この管理が行き届いてなく無造作に広がっている蓮には経済拡大の為に美しい野山を切り崩しビルやマンションを乱立しつづける現代日本をまさしく皮肉してるようにしか感じざるを得ません。

ちなみにこの蓮池ですが、日本万国博覧会の際に造られて以来日々、改良を重ねていて毎年、蓮の季節になると早朝観蓮会を催していてその時期には池いっぱいに広がる綺麗なはすの花々を鑑賞できるようで毎年沢山の人々が訪れる模様です。

 

早朝のはすの鑑賞会の様子
出展:Traveloop

万博記念公園内の日本庭園には自然保護を重きにおいた活動があったりと素晴らしい面もありますが、しかしその一方で1970年の「進歩と調和」を理想として描いていたはずの日本と同じで未来の進歩を意識しすぎるあまりにも乱雑した現代がこちらの庭園にも反映されているように思えます。

 

 

そしてその様子を美しいとカメラに収めて平然と受け入れいている

私たち日本人の感覚は近代の感覚に侵されて

本来の日本庭園の意図や美しさを見出す力をも失ってしまい

完全に麻痺してしまっているのではないでしょうか??。

 

 

日本庭園とは古代から日本人が持つ畏れ、愛し、共存する、対象だった

[自然]を

常に身近かに感じるために庭園に見立てた縮み文化だと思います。

 

その庭園の歴史は飛鳥時代からはじまり現代まで脈々に受け継がれ、時代とともに様式は変えながらもその時代の日本人の精神や美意識を端的に表しているようです。

 

 

もう一度この日本の誇れる伝統文化を深く見つめなおし、本当に次の世代に伝えるべき近代の日本庭園はどのようなものなのかを時代とともに考える時期に差しかかっているのではないでしょうか??。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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